ある所に、それは大層美しいオカマが居ました。
オカマの名はオスカー=サジェスト。
彼は手術を済ませ、ホルモン注射も欠かさないので、もう既に彼女と呼んで良い程でした。
彼女は強く美しい完璧な人間でしたが、暇人でした。
それもその筈、彼女は独り、何もない塔の最上部、屋上に佇んでいたのです。
幾つかの塔が立ち並ぶ中、彼女の佇んでいた塔はその中で最も高く、そして最も大きかったのです。
オスカーは高い所から他の塔を眺めていました。
高い所は見晴らしが良くてこの世の全てを見下ろせた様な気分になります。
オスカーの格好の暇つぶし。
それは塔に住んでいる人々を観察する事です。
完璧なオカマ、オスカーのオカマ☆アイは千里眼並みに全てを見通す事が出来ました。
塔の最上部に居ながらも、塔の内部はもちろん、全ての塔の全てのフロアを見る事が出来ます。
さて、今日もオカマ☆アイは観察ターゲット候補を見つけた様です。
オスカーは微かに口元に笑みを浮かべながら、ターゲットを値踏みしています。
ターゲットの男はオスカーの好みの男ではありませんでしたが、オスカーはその男の行動に少しだけ興味を持ちました。
男の名は、大山たかし。
「技師」と呼ばれる特殊な任務に就く、煙草が大好きな青年です。
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